麻酔下での歯科処置の必要性(犬猫別に)

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麻酔下での歯科処置の必要性(犬猫別に)

15才のビーグル
避妊済みの女の子です。

ひどい口臭と、口の痛みから食欲低下と下痢で毎日辛そうでした。
麻酔のリスクはありましたが、気をつけて特殊な麻酔を組み合わせてなんとか歯科処置をやり切れました。

ピカピカですね!!
匂いもほとんどしなくなりました!

、、という見た目の問題だけではないのです。

犬の歯周病についてです。
犬、猫、人それぞれで口の中の環境は全く違い、かなり病態も異なります。

人は虫歯(齲歯)が多いですよね。
これは酸性条件下で虫歯原因菌が歯(の上の方)を溶かしてしまう病気です。

犬は、アルカリ環境下で別の細菌が歯槽ポケットに入り込み炎症を引き起こします。
そのため歯肉が赤くなり歯肉炎となります。その歯槽ポケットで形成されるプラーク(細菌が籠城しているバイオフィルム)から排泄された物質に口腔内のミネラルが沈着し歯石ができます。
つまり歯石は病態の主体ではないのです。
その歯槽ポケットのプラークによる歯肉炎が進行すると、歯の根っこの方に侵食が進みます。
これが人間の虫歯との違いです。
だから、人間のように歯が溶けるのではなく、根っこだけがグラグラするのです。

では、猫は、、
またまた全然違います。
猫の口内炎は実は詳しく分かっておりませんが、
主に口腔内のウイルスに対する免疫反応の結果、自分の歯肉に間違った免疫攻撃がなされていることが主因と考えられています。
そのため抗生剤は基本的に効果が薄く、ステロイドを含む免疫抑制剤が効きます。

では、猫ちゃんの口内炎のかなり重症な症例の治療例です。

猫白血病ウイルスに罹患しているこの3歳の猫ちゃんは、口内炎が酷すぎて痛すぎて食べることすらできませんでした。
先ほど説明したようにウイルスへの過剰な免疫反応が原因ですから、ウイルスが巣食っている歯の隙間全てを取り除く必要があります。
つまり抜歯をしなくてはいけません。
人間の感覚でいくと歯がなくなるのは絶望的なことですが、肉食動物の彼らにとって歯は、「獲物から肉を引き裂く」作用しかありません(裂肉歯)。
全臼歯抜歯をしたこの子は、比較的すぐに痛みから解放されます。
とはいえ、できればこうなる前に対処したいものですね。


一応、
犬は抗生剤
猫は免疫抑制剤(抗炎症剤)
が効く。。

のですが、原則はいずれも外科的な歯科処置が唯一にして最高の根治的治療です。

今回は犬の歯周病についてもう少し詳しく。
先ほど申し上げたように歯周ポケットへの細菌の感染ですので、
合併症も多く報告されています。

肝炎
胆管炎
慢性腎臓病の増悪因子、腎盂腎炎
疣贅性心内膜炎
炎症性腸症
などなど、関連性が示唆されています。

つまり万病の元になりうるのです。

人間の虫歯と違って根っこから溶けていきますから、
飼い主さんが軽い気持ちで歯科処置をお願いしたけれど、実際はグラグラで抜かなきゃいけない歯だらけだったなんてことはざらにあります。
どうか年をできるだけ取らないうちに、犠牲となる歯が少しでも少ないうちに、
歯科処置をしてあげてください。


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 腫瘍科認定医 瀧口 晴嵩