うさぎの乳腺腫瘍、過形成
乳腺腫瘍
うさぎにも犬や猫と同じように乳腺腫瘍が発生します。
その発生率は犬ほどは高くないですが、その一方、猫と同じように多くが悪性であることがわかっています。
また乳腺腫瘍ができるか否かと避妊の関係性はよくわかっていませんが、体感としてはあまり関係なく発生するように感じます。
悪性が多いため転移の可能性が常につきまとう病気で、早急な対応が必要です。
乳腺腫瘍の早期発見は比較的難しく、毛が密に生えているうさぎの場合、目視で確認することができる頃にはかなり大きくなっているはずです。早期発見のためには普段からお腹をじっくり触れなくてはいけないのですが、実際に飼い主様が自宅でうさぎをひっくり返して触診するのは困難を極めます。病院で爪切りの際発見されるか、巨大化してから来院することの多い病気です。
<乳腺腺癌の1例>
9歳の未避妊メス
他院にて1年間毛玉症と診断され、強制給餌と内服を続けてきた
いらした時には全身状態はかなり悪く筋肉量の低下、腹囲膨満(お腹が張っている)、乳腺腫瘤が確認されました。
血液検査上は軽度の腎不全
レントゲン上では問題なく
超音波検査で大量の腹水貯留、子宮の形状の不整、強い腹膜炎が検出されました。
一度一般状態を上げるため内服の調整をし、手術による摘出をしました。
この症例の場合、発見がかなり遅れたため腹腔内転移をしておりました。
早期に発見された場合の多くは外科的な摘出により十分に完治も望めます。
乳腺過形成
乳腺腫瘍と似ていますが別の病気、乳腺の過形成という病気もあります。
これは腫瘍ではなく、卵巣や子宮の異常に伴い異常に乳腺が腫れてしまう病気であり、乳腺ではなく子宮卵巣を摘出することで完治します。
ほぼ100%子宮と卵巣に異常があり、摘出することでホルモン異常が解除され、自然に治ります。
慌てて乳腺だけを摘出しても意味がありません。
<乳腺過形成の1例>
4歳の未避妊メス
自宅でうさぎを触っていたら腹部がボコボコする
一般状態は良好だが、最近発情行動がひどい
触診により乳腺の全てが腫脹、子宮も腫れている
子宮卵巣摘出術を提案しました。
この症例は10日後の抜糸時にすでに乳腺は小さくなり始めて、1ヶ月後には完全に正常に戻っておりました。