M.ダックス
14歳
女の子です。
歯周病の治療(抗生剤など)を受けていたが、セカンドピニオン希望でいらした症例です。
しかし、歯周病だけではなかったのです。
頰と歯ぐきにまたがる歯肉に腫瘍がありました。
犬の口腔内腫瘍は悪いものが多く、発生頻度順に
1、メラノーマ
2、扁平上皮癌
3、線維肉腫
です。
嫌な予感がしますが、診断がつかないとどんな治療が良いか判断できません。
とりあえず、悪性腫瘍前提の拡大切除を行います。
マージン(腫瘍の周囲)も切除範囲に入れ、骨膜も剥離します。
で、縫い合わせました。
が、これでも逃げられないこともあるのが犬の口腔内腫瘍の怖い点です。
病理の結果は
「メラノーマ(悪性黒色腫)」
でした。
メラノーマは、
犬か猫か?
発生部位はどこか
によって挙動が全く異なります。
猫はどこにできても悪いです。
犬は皮膚、目などにできたメラノーマは摘出できれば完治が十分に望めます。
一方で歯肉、粘膜にできた場合挙動は極めて悪いことが多いです。
積極的な切除をしなければ完治はほぼあり得ません。
しても、再発の可能性は数年後まであり得ます。
この子は、
14歳と高齢
発生部位が目のすぐ下で拡大切除が難しい
という点を勘案し、相談の上、骨を切るような拡大切除は見送ることとしました。
その代わり定期的に再発、転移チェックは欠かせません。
また、いざという時は分子標的薬が有効なことがわかっています。
まだまだ手はあります。
高齢わんちゃん、辛くないように頑張りましょう!!
八千代市、船橋市の動物病院
はる動物病院
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腫瘍科認定医 瀧口 晴嵩