今日の朝のことでした。
時間外の早朝に電話が入っており、折り返しお電話してみると
「初めてなんですが、猫が呼吸が荒いです」とのことでした。
5歳、mix猫、去勢オス です。
猫ちゃんが目に見えるほど呼吸が悪い時は、命の危険があることがほとんどです。
急いでいらしていただくと、
かなり危険な状態!!
すぐに胸のレントゲンだけとって、ICUに入ってもらいとりあえず状態安定を計ります。
数時間後心臓の超音波検査をして、原因がわかりました。
生まれつきの心臓の奇形
「心室中隔欠損症」
に伴う「肺水腫」でした。
肺は真っ白で、これでは呼吸が苦しそうです。。
心臓がハートの形をしているのがお分かりでしょうか?
肥大型心筋症を始めとする、心房拡大を伴う病態でみられるレントゲン所見です。
犬も猫も心臓は4つのお部屋に別れていますが、当然それぞれは壁で別れていなければいけません。
「心室中隔欠損症(VSD)」
とは左右の心室の一部に穴(欠損孔)が空いている病気です。
参照;https://www.konekono-heya.com/byouki/junkanki/shinzou/shinshitsu-chuukaku.html
これが欠損孔からジェットのように吹き出る血流です(左→右短絡)。
結果として高度に拡大してしまった左心房です。
こうした心臓の異常により、血液がうまく送り出されなくなり、
心臓の後ろ=肺 に血液がうっ滞(溜まる)ようになります。
その結果として、肺水腫となり急患で運ばれたというわけです。
心臓、肺の病気は直接的に生命を脅かす恐ろしい病気です。
そして、こうした生まれつきの病気が見逃され、5歳になってついに限界を迎えてしまいました。
健康に見えても病気が隠れていることもあります。
あまり怖がりすぎるのも得策ではありませんが、
症状が出てからではダメな病気がほとんどです。
お薬で呼吸が落ち着いておうちに帰ることができましたが、
そんなちょっとシリアスな話でした。
八千代市、船橋市の動物病院
はる動物病院
千葉県八千代市緑が丘西
1−15−2
047-406-5008
腫瘍科認定医 瀧口 晴嵩