犬の乳腺腫瘍

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犬の乳腺腫瘍

12歳のゴールデンリトリーバーの女の子。
一年前に子宮蓄膿症を患い避妊手術を受けた子です。

今度は乳腺にしこりが、、

犬の乳腺腫瘍についてです。

未避妊の女の子の生涯発生率はなんと76%に及ぶという報告もあります。

その中で50%が良性、残り50%が悪性。
悪性の中の50%が発見時に既に転移しており、治せない。
と言われています。

これは大型犬がメジャーなアメリカのデータなので、
日本ではもっともっと良性が多いのですが、
それでも悪性転化の可能性は常にあります。

1度も発情しないうちに避妊手術を受けると発生率は0.06%まで減ります。
2回目の発情から3回目の発情の間にすると25%と言われています。

これが避妊手術をする理由です。

この子は転移ない状態で手術し、取りきれましたが、
比較的シビアな慢性腎臓病で高齢だったため、麻酔にかなり神経を使いました。

頑張ったね。。

犬の乳腺腫瘍の治療についてです。
ガンの治療としては、
①外科的切除
②放射線療法
③抗がん剤
④免疫療法

がありますが、乳腺腫瘍のような固形ガン(かたまりから始まる腫瘍)は外科的に取り切ることがもっとも重要です。
もっとも、すでに転移している子に無意味にメスを入れて痛がらせるのは得策でないから、
ステージ(腫瘍の進行度合い)を正確に評価する必要があります。

それは腫瘍の種類によって、品種によって、発生部位によって大きく異なることはよくあります。

抗がん剤、放射線、免疫療法は原則として最初から適応となる治療法ではなく、
外科的に摘出して、わずかに取り切れていない、あるいは取り切れていない可能性がある、転移の可能性を落としたい。
などの目的達成のために用いられます。

例外的に生活の質を維持するために免疫療法などが最初から適応となる場合はあります。

また、
手術に耐えられますか?
年なのに意味ありますか?
抗がん剤って副作用が怖い
と心配になりますよね?

それらのことを考慮し、プラスマイナス合計として動物にとってメリットになるかどうか(その可能性が高いか)で治療法は決定されます。

実際にはさらに複雑で、ご家庭事情もあります
費用面
抗がん剤を入れて大丈夫か?妊婦さんがいるご家庭に出せない抗がん剤もあります。
定期的なケアを行えるか?来院できるか?
そんなことも考慮しないと、長続きしないなら動物のためになりませんからね。


長くなりましたが、
女の子は乳腺のしこりに気をつけてください。

しこりが小さいうちは飼い主様は気づかれていらっしゃらないことが多いです。
たまにかかりつけの先生に触診してもらうべきだと思います。


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 腫瘍科認定医 瀧口 晴嵩