猫の心房中隔欠損症(ASD)・血栓症

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猫の心房中隔欠損症(ASD)・血栓症

2歳の若い猫ちゃん

夜間にお電話あって
「急に後ろ足が立たなくなって、尻尾を膨らませている」
ということなので緊急疾患を想定し、夜間救急で来院いただきました。

後ろ足はクッタリ
冷たくもなっています

呼吸もあらい
しんどそうです

足裏のパッドの色も真っ白です。

血流が止まっていることを示唆します。

血栓が詰まっている可能性を考えます。

そこで両方の足に血管(外腸骨動脈)を供給する分岐部の後動脈をエコーで見てみます。

やはり血流がなくなっています。。

ここらあたりで血栓が詰まり、その痛みでギャっと鳴き、
後ろ足に血流がいかないのでパッドが真っ白
感覚もなくなり
動かない

そんな状況がわかりました。

呼吸が荒いのは、肺にも血栓が詰まっているからでしょうか?
(✳︎後で心臓による呼吸不全もわかりました)

まずは一般状態の改善から入ります。
この状態での検査は限界がありますから、
集中治療を経て、翌日に精密検査をします。

さて、最初から疑っているのは心疾患です。

猫の血栓症の原因で最多なのは心疾患なのです。

にしても、若いので「肥大型心筋症」あたりはまずあり得ません。

検査の結果、原因がわかりました。

心房中隔欠損症(ASD)
です。

左右の心房は分かれていないといけないのですが、
その中隔に穴が空いている先天性心疾患です。

猫ではまあまあある心臓の病気ですが、
以前紹介した心室中隔欠損症(VSD)と違い、あまり重篤化することはありません。
(無治療のまま経過観察も多いです)

しかしこの子はその欠損孔が大きく、問題があったのです。

心臓の壁の筋肉が異常に腫れ上がっていました。

心臓の周りに水も溜まっていました(心のう水)。

肺動脈高血圧も検出されました。

猫の心疾患は(特に肥大型心筋症HCMは)、
心臓の中に血栓を作り、それが全身に飛びます。
これは本当に恐ろしいことで、

足に飛べば今回のようなことが起き得ますし、
肺に飛べば一気に呼吸できなくなり(肺血栓塞栓症)
脳に飛べば突然死(脳梗塞)
腎臓に飛べば急性腎不全、、、、

この子も腎臓に血栓が詰まっていたようで、
片方の腎臓は血流がありませんでした。

血液検査をしてみるとやはり急性腎不全を起こしており、油断ならない状況です。

この記事のメッセージは、

①犬も猫も心奇形をはじめとする先天性疾患があるので、若くても一度はペットドックなどを受けてみましょう!
②猫の心疾患(主に肥大型心筋症)は多いので、注意!
 緊急性の高い合併症もありますのでそれも注意!

若い頃は先天性の病気、事故に注意。

お年寄りさんは何かしら病気を起こすので、早め早めの対応が大切です。
ポイントは症状が出ないうちに治療を開始することです。


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 腫瘍科認定医 瀧口 晴嵩