犬のアジソン病(副腎皮質機能低下症)

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犬のアジソン病(副腎皮質機能低下症)

10歳の女の子のパグちゃん。

主訴は、
元気がない、下痢をする、食欲がない
という非特異的なものでした。
一過性の胃腸炎でもあり得ますね。

しかし血液検査でいくつか異常を認めました。

肝臓の数字が高い。
腎臓の数字(尿素窒素だけ)高い
低ナトリウム、クロール血症

のちに肝臓は精密検査の結果、今回の症状とは関係していないことがわかりました。
また別の病気なのですが、今回は説明を割愛いたします。

ポイントはクレアチニンは大丈夫なのに、尿素窒素だけがかなり高いということです。
尿素窒素もクレアチニンも腎臓の数字です。

「腎臓病」ではないのです。。

電解質の乱れも気になります。
嘔吐下痢が激しいと乱れることはあり得ますが、、

超音波検査をしてみると、、

副腎が小さ〜い!

副腎とは腎臓の近くにある小さな小さな臓器で、
様々なホルモンを分泌しています。

主に、
グルココルチコイド(元気をだすホルモン)
ミネラルコルチコイド(ミネラルのバランスを整えるホルモン)

の2つを分泌しています(他にもありますが、今回は割愛)。

アジソン病とは、この副腎が何らかの原因で萎縮してしまい
これらのホルモンが減ってしまい、

元気がなくなる。
ミネラルのバランスが悪くなる(循環が悪くなる)。

といった問題が発生し、何となく元気がない、下痢をするといった非特異的(どんな病気にも当てはまるよう)な症状を呈します。

そのため気をつけていないと見逃すことがあります。

●好発犬種、年齢
パピヨン、プードル、ラブラなど
中年のメス が多いです。

●原因
特発性(原因不明)が圧倒的に多いです。
副腎や周囲の腫瘍による圧迫、外傷なんかもありますが稀です。
原因として、自己免疫応答(自分で自分の細胞を攻撃してしまう)が疑われています。好発犬種があることから遺伝も関与しているかもとも言われています。

●タイプ
犬の場合、
2つともホルモンが減ってしまう定型アジソン病(70%)
グルココルチコイドのみ減ってしまう非定型アジソン病(30%)
の2つが知られています。

後者は診断がさらに難しいです。

●診断
血液検査所見
副腎の超音波検査
ホルモンの測定

●治療
治療のコンセプトは単純です。
足りないホルモンを見極め補充すれば予後は良い病気です。

この子もホルモン測定をし、定型アジソン病と診断しました。
お薬開始です。がんばりましょう!


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 腫瘍科認定医 瀧口 晴嵩