うさぎの軟部組織肉腫
軟部組織肉腫とは軟部組織(皮膚や筋肉などの柔らかい組織)にできた間葉系腫瘍の総称です。つまり、特定の「・・腫」のような固有名詞ではなく、複数の似た特性をもった腫瘍の総称です。一般的な傾向として、浸潤性(周囲組織に広がっていく力)が高く、転移は癌(上皮系腫瘍)と比べてそこまでは多くないです。そのため初期にできるだけ大きく切除できるかがキーとなります。
うさぎは犬猫に比べ苦労することが多いように感じます。これには①うさぎの方が浸潤性が高いから②体が小さく大きく切れないからといった事情が関連しているのかもしれません。うさぎの場合あまり体を触らせてくれないとおっしゃる飼い主さんも多く、発見が遅れる可能性もあります。何か指に触れるように感じたら診せていただいた方が良いかもしれません。
いくつかの例を紹介したいと思います。
<皮膚線維粘液腫の再発をした症例>
この症例は鼠径部にしこりを認めました。鼠径部は血管や神経が豊富に分布しているため扱いに注意が必要です。また、足の動きに影響する場所なので不用意に大きく切ってしまうと縫合できなくなってしまうことも考慮に入れた手術が必要です。病理の結果は「皮膚線維粘液腫」で良性のカテゴリーに入ります。が、それでも再発の可能性があるのが軟部組織肉腫の特徴です。
数ヶ月後、残念ながら再発してしまいました。
飼い主さんは熱心な方なのでよく観察していただいたのだと思うのですが、すでに結構大きいです。そもそも再発するような腫瘍はアグレッシブなので、成長速度が早い傾向にあります。
再手術で対応しました。
<広範囲に広がった胸部の軟部組織肉腫>
この子は初診時からこの状態です。バリカンをかけるといかに大きいかわかりますが、毛で隠れているとわかりづらいものなのです。
・
・
<
・
・
・