うさぎの膀胱結石
うさぎは比較的膀胱結石に罹患しやすい動物で、ほとんどの場合「炭酸カルシウム」という成分からなります。
<原因>
遺伝素因、食事内容、飲水量、尿路感染症の影響などが挙げられていますが、うさぎの場合は最低限の食事のマナーを守っていた場合、結局体質としか言いようのない場面によく出くわします。私がこう感じるのは、当院にかかるうさぎたちに徹底した食事指導をしているからだと思いますので、あくまでも食事内容はとても重要です。犬猫のような泌尿路疾患用のフードがあるわけではなく、メインページでご説明した食事内容を遵守することが重要です。
<症状>
・血尿が出る
・おしっこしずらそうにする
・頻尿 などの症状が挙げられますが、無症状で健診で見つかることもよくあります。
<治療>
炭酸カルシウムは溶解しないので基本的には手術になります。小さいうちは流れる場合もありますが、メスであり(メスの方が尿道が太いため)、小さな結石が、少ない場合のみ流れる可能性があります。膀胱の中にあるだけなら緊急性はそこまでありませんが、詰まると急転直下、当日中になんとかしないといけない状態に陥るので、長い間の経過観察は推奨されません。
<予後>
摘出がなされると予後は良好です。一方で、犬猫に比べると手術はずっと繊細です。特に詰まった状態での手術は組織損傷が重度で回復しない恐れもあります。さらに、これは人や犬猫でも同じなのですが、常に再発に注意しないといけません。
<症例①;尿道結石>
若い男の子が尿が出ないといらっしゃいました。尿道に結石を認め、膀胱がパンパンだったためそのまま緊急手術となりました。この子は果物を与えられていました。食事指導後、数年間再発は認められていません。
<症例②;重度膀胱損傷を認めた症例>
2日前から排尿せず、ぐったりのうさぎさんです。触診ですぐにわかるほど膀胱はパンパンでかなり状態が悪いです。緊急手術となりました。膀胱は重度に炎症を起こしていて赤く腫れていて、点状出血も見られます。切開し、膀胱の奥(膀胱頸部)に詰まった結石をなんとか摘出、開通していることを確認して、閉腹となりました。この子は同時に腎不全も起こしており、かなり苦労することになりました。