今回ご紹介するのは、多発性関節炎という病気です。
いわゆる整形外科的な関節炎ではなく、
内科疾患で、発熱しぐったりするのが特徴です。
そして、関節炎なのに跛行を伴わない(びっこをひかない)ことが多いです。
この猫ちゃんは珍しく跛行を伴っていましたが、
1週間にわたる元気食欲低下で来院されました。
2歳のメインクーンの男の子(去勢)です。
元気なくぐったりで、熱はなんと40.6℃!
稟告と他の検査結果から、多発性関節炎も疑い、
関節液の検査をしてみました。
すると関節の中からおびただしい量の関節液が!!
しかも、粘稠性は失われ、色もおかしい。。
普通の関節液はこんな感じ。
少ない
透明
粘り気がある
のが普通です。
さて、この多発性関節炎とはどんな病気なのでしょうか?
①特発性関節炎(IPA)
基礎疾患(原因となる病気)なしに、ひとりでに多発性関節炎になってしまう病態です。
自己免疫疾患(自分が自分の細胞を攻撃してしまう疾患群)の一種です。
②二次性多発性関節炎(sPA)
なんらかの基礎疾患があり、それに続発して多発性関節炎が惹起される場合です。
原因となる病気には、
リンパ腫、感染、口内炎、胆管炎、膵炎、猫伝染性腹膜炎、その他自己免疫疾患 などなどあります。
一般的に①の特発性は中年(6、7歳ぐらい)の女の子に多く、犬はこのパターンが多いです。
一方で、猫は若い時に感染や猫伝染性腹膜炎を起こし、これに続発して多発性関節炎に罹患することが多いと考えられています。
3日の入院と、退院後の内服で現在は熱も下がり、元気になりました。
犬猫の病気は、人間と同じものも多いです。
一方で、犬猫特有のものも多いのです。
八千代市、船橋市の動物病院
はる動物病院
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腫瘍科認定医 瀧口 晴嵩